学術情報資源入手支援ツール的なものを作りました
はじめに
ここでいう「学術資源」とは国内・国外雑誌に掲載された論文や記事、を指しています。それらの入手支援のためのツール的なものを作りました。
どんなもの?
検索エンジンや書誌情報データベースで検索することで「これ読みたい」という学術資源のサイトにたどり着くかと思います。その学術資源はオープンアクセスで自由に読むことができるかもしれませんし、著者や組織などがセルフアーカイブしたバージョンやプレプリンツなどの形で読むことができるかもしれません、あるいは法人/個人購読が必要なものかもしれません。
このツールをインストールすることで、学術資源のサイトへアクセスし、論文・記事の情報が掲載されたページを見ているユーザに対して、ウェブ上に存在し読むことができる論文・記事へのリンクをブラウザ上に表示します。そのリンクをクリックすることによって、ユーザは論文・記事にたどり着くことができます。*1
また、読むことができない場合もあります。その場合は、所属する組織の図書館などの学術情報入手支援部署に対して文献複写依頼をしやすくします。「しやすくする」というのがポイントで、ブラウザ上に表示されたリンクをクリックすると、ユーザのメーラーが起動し、登録済の「(メール)宛先、件名、本文には書誌情報 etc」を新規送信メールに入力済の状態で表示します。ユーザは送信ボタンを押すだけで、あらかじめ登録してあったメール宛先に電子メールでの文献複写依頼が飛ばせることができます。わずか2クリックで文献複写依頼可能です。
chrome.google.com
ここで注意したいのが、所属する組織の図書館などの学術情報入手支援部署が電子メールでの文献複写依頼を受け付けているか、です。もし受け付けているのであれば、ぜひこのツールを試してみてください。受け付けていない場合もダメ元で聞いてみてください*2。
どんな感じで動くのか
まずはインストール。Google Chrome用の拡張機能ですので、Google Chromeにて以下のサイトへアクセスしインストール、です。
chrome.google.com
インストールが終了したら、ブラウザ右上に現れたロゴを右クリックして「オプション」を選択してください。オプション画面にて事前に各種設定をします。
適宜入れてみてください。それぞれの項目の詳細は後ほど掲載します。「Alert Message」の部分が後ほどブラウザ上に表示されるキーワードになります。なにも入力しないと、最初から薄く表示されている「Mail」という文字が表示される仕組みです。入力が終わったら「Save」ボタンを押してください。「Option Saved」という赤い文字がパッと表示されて消えたら設定OKです。
初期設定はここまでです。設定を変えたくなったらまたこのオプションページを開けばいつでも変えることができます。ブラウザ内に記録されているため、ブラウザを閉じてコンピュータの電源を落としてもさきほどの設定は有効です。
いよいよ使ってみましょう。Pubmedあたりで適宜検索をして論文の詳細情報のページにたどり着いてみてください。
Pubmed内の論文詳細ページにアクセスしていると、ブラウザ画面左下になにやら表示されると思います。さきほど特に入力しなかったため「Mail」と表示されています。
これをクリックすると、
ユーザが標準利用しているメーラーが自動で立ち上がり、かつ新規メール作成画面に進み、文献複写依頼をするのに必要な情報が埋め込まれているはずです。内容を一応確認し、送信ボタンを押せば文献複写依頼完了です。*3
オプション画面で指定できること
オプション画面で設定可能な項目の詳細です。
それぞれの項目の説明は以下の通りです。
・[Send to] メール送信宛先
・[Send to (CC)] メール送信宛先(CC)
・Subject : 件名。初期設定は「Article Request」。
・Others : メール冒頭に入れておきたい文章を入力する
・Alert Message : ブラウザ上でNotificationとして表示したい文字列を入力。初期設定は「Mail」
・Font-color : Notificationの文字色を選択。初期設定は白
・Find OA : OA論文を探したい場合は選択。初期設定では未選択。
対応している出版社サイト、データベース
現在の動作範囲は以下の通りです。国内の大手書誌情報DBも対応しています。もし要望等あれば対応を検討しますのでご連絡いただけると嬉しいです。
【出版社】:Elsevier , Nature , AIP , APS , Springer , Wiley , IOP , AAAS , SAGE , OUP , Cell Press , RSC , Taylor&Francis
【書誌情報DB】 :PubMed , Web of Science , CiNii Articles , NDL Search
しくみ
何を隠そうmailtoです*4。
使っているサービス
・oaDOI
・CiNii API
さいごに
html5時代にmailtoかよ、とずっこけた方もいらっしゃるかもしれません。たぶん一番最初に考えた自分自身が自分自身につっこみをいれつつ作りました。デジタルツールなのに不思議とアナログ感のただようこのツールが出来上がりました。
もし不具合がありましたらいつでも教えていただけると幸いです。また、積極的な導入などご相談があれば声をかけていただけると嬉しいです。